お金の問題集
第3問
予算5000万円で住宅ローンを組む予定です。
不動産業者や建築業者は当たり前のように「変動金利」で借りることを前提に話してきます。
ただ今後金利が上昇した場合、ローン返済額も上昇して払えなくなるのではないかと心配です。
固定金利なら返済額も一定だし、総額も決まっているので、安全なのではないかと思っています。
「変動金利」と「固定金利」、どちらを選べばいいのでしょうか?
(ただしバブル景気再来を除く)
- この解答のポイントはココ!
- 総利息は倍以上の差
- 金利の変動リスク
- 金利は上がる?
- 金利が上昇したら・・・
- リスクの取り方?
変動金利と固定金利の金利差は、低金利の現在では倍以上になっています。
すなわち、利息の額も倍以上違ってくるということです。
例として、5000万円の住宅ローンを、変動金利0.5%と固定金利1.3%で借りた場合をシミュレーションしてみましょう。簡略化のため、頭金・保証料など諸費用は考慮しないものとします。
総返済額は以下の通りです。
変動金利0.5%:返済総額5451万円:総利息451万円
固定金利1.3%:返済総額6430万円:総利息1430万円
仮に金利が一定の場合、総額で1000万円近く利息が異なってきます。
まずはここを押さえておきましょう。
一般に、金利が上昇した場合のリスクを取りたくない建築主は固定金利を選択します。
逆に金利上昇リスクを建築主が取る代わりに、利息を抑えたい場合は変動金利を選択します。
利息の差額はそのリスク負担経費と言えます。
上記の例で言えば、
固定金利=リスクを銀行に肩代わりさせて、1000万円の利息(リスク負担経費)を銀行に多く支払う。
変動金利=リスクを建築主が取って、1000万円利息を軽減する。
となるわけです。
金利上昇リスクの引き受け料が1000万円と考えた場合、この額は大きいでしょうか小さいでしょうか?
個々人のリスク許容度によって判断は異なりますが、いかがでしょうか?
住宅ローンの変動金利は「短期プライムレート(通称:短プラ)」と密接に連動しています。
さらに短期プライムレートは日本銀行が決める「政策金利」を基に決められています。
日本銀行が政策金利を引き上げれば、短期プライムレートが上昇し、そこに連動している変動金利も上がるのです。
ここでは詳しい説明は省きますが、日本の景気が良くなれば日本銀行は政策金利を引き上げ、景気が悪くなれば政策金利を引き下げます。
日本の景気は、バブル以降「失われた30年」と言われるほど悪いままなので、政策金利も低いままです。
つまり、住宅ローンの変動金利も低い状態が長期に渡って続いているということです。
※民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)
https://www.flat35.com/loan/atoz/06.html
の図を引用してください。
ただ将来30年に渡って、日本の景気が後退したままで、金利が低いままということを保証するものではありません。
しかし、今後日本の景気が大きく(それこそバブル景気のように)良くなると考えられますか?
では、変動金利で5000万円の住宅ローンを借り、10年ごとに1%ずつ金利が上昇したらどうなるでしょう。
当初:0.5%
10年目以降:1.5%
20年目以降:2.5%
30年目以降:3.5%
返済総額6246万円:総利息1246万円。
(固定金利1.3%の場合)
返済総額6430万円:総利息1430万円
なんと最終的に固定金利の3倍近い金利になっているのに、返済総額・総利息は200万円近く安いのです。
さて、以上のシミュレーション結果を踏まえて、考えてみてください。
さて、仮に金利が10年ごとに1%上昇した場合(最終的には固定金利の約3倍)でも、固定金利の方が返済総額が大きいということがわかりました。
もちろん、この設定を上回る勢いで金利が上昇した場合、それこそバブル期のように5%〜8%となってしまった場合、返済総額の大小は逆転します。
果たしてそのような金利上昇の局面は訪れるのでしょうか?
こればかりは経済の見通しを正確に予測(予知)できません。
ですが、ここまでお読み頂けた方であれば、ある程度の判断の参考にはなったと思います。
どちらが正解ということではなく、リスクをどのように取り、資金計画を策定させるか。
ご不安がありましたら、まずは一度資金計画を複数通り作成してみることをオススメします。
追記)
折衷案として、住宅ローンの半分を固定金利、残り半分を変動金利で借りるという手段もあります。
リスクが分散されますが、利息の軽減額も分散され低下します。
制度の変更、廃止などにより、現在ではあてはまらない場合もございます。あらかじめご了承ください。